阿部守一さん回答PDF
金井忠一さん回答PDF
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【阿部守一さん回答テキスト】
1長野県の子育て支援について、県は平成30年8月から中学生までの医療費の窓口無料化を県内一斉に実施すると発表しましたが、県内7割の市町村では18歳までの窓口無料化を実施しています。補償の内容が自治体によってバラツキがありますが県として今後どのようなお考えがあります?
現在、県内の全市町村のご協力により、所得制限なしで通院・入院とも中学卒業までの医療費助成を実施しています。それを上回る医療費助成については、市町村が自主的に行っているところです。
今後とも市町村と連携して、子育て世帯に対する支援を充実してまいります。
2子どもの貧困の実態を把握するため県が県内の小中高校生のいる世帯の生活実態調査をした結果「生活困難世帯」が全体の24.5%つまり全体の約1/4にのぼることが分かりましたが県としてどのような対策、支援をお考えでしょうか。
子どもたちが経済的な理由で夢を諦めたり、不利な状況に置かれることは、決して放置できない重大な問題として受け止めています。
「子どもと子育て家庭の実態調査」の結果を踏まえ、「しあわせ信州創造プラン2.0」及びその個別計画である「長野県子ども・若者支援総合計画」に基づく対策を総合的に実施するなど貧困対策に取り組んでまいります。
たとえば、大学等に進学する低所得世帯の子どもや児童養護施設入所者等の給付型奨学金の拡充、生活困窮家庭の子どもの学習支援の拡充、切れ目ない相談支援体制としての「信州こどもサポート(仮称)」の構築などに取り組んでまいります。
3家庭教育支援条例が千曲市で施行されており、国の方でも家庭教育支援法が考えられていますが、家庭教育について、また条例化、法令化することのご自身のお考えをお聞かせください。
家庭は、子どもたちの健やかな育ちの基盤であると考えます。
子どもの育ちについて家庭の果たす役割は重要であるので、平成26年に「長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例」を制定し、その中で、「保護者の役割」、「保護者に対する支援」について規定しています。この条例を適切に運用することにより、ご家庭に寄り添った支援を進めてまいります。
4松くい虫の空中散布が県全体の問題として申し入れがされ、健康被害についても取り上げられてきていますが県として今後の松枯れに対してどのような対応をお考えですか。また、子どもへの健康被害へはどのような対策をお考えでしょうか。お聞かせください。
松くい虫防除の空中散布については、当該地域の状況、場所に応じた適切な手法を選択することが重要です。空中散布の実施主体である市町村に対して、下記について県として指導しております。
①薬剤散布と伐倒駆除等の組み合わせによる実施
②周辺の被害状況のレベルに応じた適切な防除対策方法の選択(パッケージ対策)
③散布計画の周知、化学物質に対する感受性の高い方への配慮等リスクコミュニケーションの徹底
他方、子どもへの健康被害に関連しては、長野県防除実施基準の運用に基づき空中散布の実施主体である市町村が周辺住民等に対し下記のとおり行うよう県として指導しています。
①健康相談に関する相談窓口の設置及び周知
②事前・事後に具体的な相談ができる体制の整備
③万一健康への影響の訴えがあった場合に対応する医療機関の周知
5リニアについて、工事を含め県民へのメリット・デメリットをお聞かせください。また、デメリットについてどのような対策をお考えでしょうか。
リニア中央新幹線の開通は、大都市圏との交通が不便であった南信州、伊那谷にとって、地域経済の活性化につながる大きな事業であり、伊那谷の発展はもとより県全体への発展にもつなげていくよう取り組んでまいります。
環境面や生活面で心配される県民の皆様もいらっしゃることから、環境アセスへの対応はもとより、残土の輸送に伴う生活への影響や処分地の防災等に対する地域の皆様の不安や懸念の声に寄り添った対応を行うとともに、JR東海に対しては、今まで以上に地域の皆様方に対して丁寧かつ真摯な対応を行うよう求めてまいります。
6長野県としていじめ防止条例が検討されていますが、いじめについてのお考えと、条例化の必要性をお聞かせください。
既に、平成27年3月19日に「長野県いじめ防止対策推進条例」を施行したところです。
いじめは、いじめを受けた子どもの人権を著しく侵害し、子どもの心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、子どもの生命または身体に重大な危険を生じさせることがあり、決して許されるべきものではないと考えます。
いじめの未然防止や、早期発見、いじめ防止等の対策などに積極的に取り組んでまいります。
7今回の県知事選の争点は何でしょうか。ご自身のお考えをお聞かせください。
現職の知事として、これまで取組んできた実績と県政運営のあり方、そして今後の重要政策として公約で掲げる「基本政策」について、県民の皆様からご評価をいただく選挙であると考えます。私が目指す県民の皆様の「確かな暮らし」の実現、すなわち希望と安心のある長野県づくりは、すべての皆様の願いであると考えております。
【金井忠一さん回答テキスト】
1.子育て支援について
長年の県民の願いや運動がようやく実って、8月から子どもの医療費の窓口無料が実現することは、本当にうれしく思っています。しかし、県の支援の対象は事実上、国の国保のペナルティがなくなる小学校入学前の通院までです。多くの市町村では、住民の要望に応えて中学卒業まで、高校卒業までの医療費無料化を実施しており、19市の市長会も市町村のとりくみへの県の支援、障害者も含めた福祉医療全体への県の支援を要望しています。市町村がこの制度のために持ち出している費用の半額を県が支援すれば、子育て家庭への支援をその分でさらに充実できます。私は、市町村の苦労しているとりくみに支援することは県の重要な役割だと考えています。また、1レセプト500円の負担金も廃止します。
2.子どもの貧困について
私は、「生活と健康を守る会」の長野県連合会会長として、格差と貧困に苦しむ県民の皆さんの生活保護の需給や就学援助制度の充実、「子ども食堂」の取り組みをはじめ、人間らしく生きることを願う人たちの、多くの助け合いの活動に参加してきました。せっかくある生活保護の制度も、長野県は全国平均をはるかに下回る捕捉率、つまり受給資格があっても受給していない人が多い県となっています。今ある制度を活用し、使い勝手が悪ければ実情に合わせて制度を改善し、必要な制度がなければ作り、県民の皆さんの暮らしやすい社会をつくっていくことが県政の大切な仕事であると確信していますので、上田市会議員時代から3000件を越える生活相談にのって解決してきた経験も生かして、県民に寄り添った県政を実現したいと思っています。
学費の心配をしなくても進学できるように、県の給付奨学金の所得制限の見直し、支給額の増額なども検討します。
3.家庭教育支援条例、支援法について
国で検討されている法案は、「家庭教育支援」の名のもとに、国家や地方公共団体、学校、保育所、地域住民まで、家庭の子育てに介入することが可能になるものです。家族が自由に判断すべき子育ての内容を国や地方公共団体が一律に方向付ける、と言うことになりかねません。私的領域である家族のプライバシーはどうなるのかが心配されますし、監視社会が強まることはないか、も懸念されます。
憲法でいえば、憲法13条の個人の尊重、憲法19条の思想、良心の自由、憲法24条の家族の中での個人の尊厳や両性の平等、などに抵触する法案です。そもそも家庭教育の目的やあり方は、国や地方自治体が、法律や条例で定めるべきものではないと思います。家族ですごす時間が保障され、豊かな家庭教育ができる環境をつくることが行政の仕事です。そのためには、残業や長時間労働をなくし、子どもの保護者の安定した雇用の確保などを進めていくことが大切です。
4.松くい虫対策について
マツクイムシとはマツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウの複合被害のことを指します。松枯れが起こり、農薬の空中散布をしても、1ミリに満たないセンチュウが松の幹に入り込んでしまえば、効果はありません。ネオニコチノイド系農薬の空中散布は、科学的効果が検証されていないのが実態で、ハチの大量死や赤トンボの激減などの環境への影響や健康被害のほか、精神発達障害への影響も指摘されています。松枯れの被害を広げないためには、松にカミキリを寄せ付けないことが重要です。昔から、健康な松は松ヤニを沢山分泌し虫の食害を防ぐため、弱った樹にカミキリが付きやすいとされています。細根を発達させ、光合成能力を高めることで強健な松林をつくることに力を注ぐべきだと考えます。子どもへの健康被害は、実態調査を行い、関係者の要望もよく聞いて、専門家の力も借り、必要な手立てをとっていきたいと考えています。
5.リニアについて
リニア中央新幹線の長野県内のルートはほとんどがトンネルのため、トンネル掘削に伴って「東京ドーム10杯分」と言われる膨大な量の残土が出るにもかかわらず、残土置き場が決まらないまま、見切り発車で工事が始まります。谷筋や沢などへの残土の仮置きが災害を誘発する恐れがあります。残土運搬の大型トラックが1日1500台も数年間にわたって通過することが住民生活に与える影響や昼神温泉への影響も心配されています。トンネルは3000メートル級の南アルプスを掘削するため、水脈がたたれ、水枯れや環境への影響も心配されています。多くの住民が不安を抱えたまま、住民の犠牲の上に事業が進められることはあってはならないことです。
私は、リニア中央新幹線の工事は、住民の納得と合意が得られるまで、いったん中止するべきだと考えています。私には、この事業のメリットは、ほとんど思いつきません。
東海道新幹線の乗車率の現状等から見ても、果たしてリニア中央新幹線開通後の飯田中間駅の乗降客がどれくらいになるのか、私は懐疑的です。「日本のマチュピチュ」と言われ、ユネスコに認定された南アルプスの中央構造線ジオパークは、今年も大鹿村の中央構造線ツアー、伊那市長谷の第60回竹中長衛祭などが取り組まれていますが、この豊かな自然自体がリニアの工事で影響を受けないか心配です。高速交通網の利便性向上が期待される飯田下伊那地方ですが、一般の県民にとってリニアの利用そのものが長野新幹線などに比べても限定的ではないかと危惧されます。
県だけでも500億円から700億円と言われる財政負担も心配です。
6.いじめ防止条例について
「長野県いじめ防止対策推進条例」(平成27年2月定例県議会で賛成多数で可決)は、第4条で「児童生徒はいじめをしてはならない」と上から威圧的、訓示的に子供たちに命令し、第7条で、教職員の言動が児童生徒に与える影響を十分に認識して教育活動を行わなければならないと、教育職員の責務を掲げ、第8条で保護者は児童生徒に規範意識を養うための教育を行うよう努めなければならないと定めている一方で、県教育委員会の役割や取り組みについては具体的文言はなく、あいまいになっています。当事おこった大津市のいじめ事件の最大の教訓は、教育委員会の秘密主義、閉鎖性を克服し、情報の公開と知る権利を保障することでしたが、長野県の条例には、それらの規定が全く欠如しています。さらに、重大な事案には、知事が再調査し、関与することができるとしていますが、知事が教育委員会の役割を飛び越えて教育に介入することとなり、知事の意向や価値観に学校が影響を受ける体質とならないか心配です。この条例は、残念ながら、子ども、学校、教職員、家庭に一方的に責任を押し付けるものになっていると思えてなりません。
日本政府は、国連子どもの権利委員会から、「過度の競争的な環境によって引き起こされるいじめ等の悪影響を回避するために学校制度を再検討することを求める。」という内容の勧告を再三受けています。いじめ対策としても、中高一貫教育や全国学力テスト、グローバル人材育成教育など、この勧告に逆行する競争を激化させる方向を見直すことが大切です。日々の学力生活の中で起こる問題を子どもたち自身が主体者として解決する環境を整えるため、各学校に、いじめ対策委員を配置するなどの行動計画を持って取り組んでいる大津市の取り組みなども大いに参考にしたいと考えています。
7.今回の県知事選の争点
阿部知事は、安倍総理大臣から推薦証を受けて今回の選挙をたたかいます。
私は、平和と県民の暮らしを守るため、知事は、国の悪政の防波堤になって闘わなければならないと考えています。
現在、「アベノミクスの効果は、なかなか地方に及ばない。」と言われ、若者や女性の非正規雇用が増え、先進国の中でも類を見ないといわれる少子高齢化が進み、先の見えない閉塞感の中で、「生きづらい」世の中になっています。
国会では、多くの国民の反対の声を押し切って、安保関連法や秘密保護法、共謀罪、「働き方改革」法などが数の力で強行採決され、森友、加計疑惑や公文書改ざんなど政治の信頼を失う事態が続いています。
安倍政権は、9条改憲に、あくまで突き進み、過労死ラインを越える働き方を「改革」の名のもとに国民に押し付け、消費税を「福祉のため」と増税しながら、生活保護費の大幅な削減をはじめとする社会保障の後退など、暴走しています。
このような時だからこそ、私は、国民いじめともいえる国の悪政に立ち向かい、美しい自然と情に熱い県民性を生かした、県民に寄り添ったあたたかい県政を実現したいものだと知事選への出馬を決意しました。
高齢者福祉や障害児教育、保育行政充実の先鞭を切ったかつての東京の美濃部都政、少人数学級の先陣となった山形県政、子どもの医療費の窓口無料化の先進県の群馬県政はじめ、地方の取り組みが国政も動かしている数々の事例があります。
平均寿命日本一の長野県から、数々の魅力ある発信をして、県民が希望を持てる県政を実現したいと考えています。